黄色っぽくて大きなアゲハは、白くて小さなモンシロチョウ同様、日本人に一番馴染み深いチョウではないでしょうか?柑橘の種をつい観葉植物の鉢に埋める癖があります。それが芽を出したものを別の鉢に植え替え、ベランダに並べておくと、たまにナミアゲハが卵を産みに来ます。
パンジーにとまっているのは、そうやって生まれ育ち、蛹で越冬して春先に羽化した個体。めぼしい蜜源植物がまだ咲いてなくて、ちょっと気の毒。これをモデルにナミアゲハを作ることにしました。
身近でありながら、今までナミアゲハを作らなかったのは、型紙が細かくなりそうと思ったから。たしかにカッターナイフを使わないと切れないサイズです。
くしゃみでもしたら飛びそうだし裏に番号も書けないので、まずは急いで黒い布を包みました。
黒い骨組み部には、ごくごく薄い綿が入っています。そこにベージュやブルーの布を嵌め込んでいくような感じです。黒線は描くだけでなく、ハサミで切ったままの布を貼り付けたり、黒い糸を渡したりして強調することにしました。
とりあえず布はすべて包み終えたところ。ナミアゲハっぽくなりました。
絵付けを最低限に抑えるため、上翅の中室の中のベージュの線は絹の穴糸でそれらしく刺し、下のY字の翅脈は切りっぱなしの布を黒糸で留めました。
次は墨と布用絵の具を使って、足りない模様を描き足します。
これでずいぶんナミアゲハに近づきました。
最後は体幹部です。今回はベージュの布を包んだものに、人形用の髪の毛(白いスガ糸)を貼り、上から黒い裁ちっぱなしの布をのせてみました。
ワイヤーは0.28ミリの黒。目玉はチェコビーズラウンドジェットの4ミリです。
すべてのパーツを貼り合わせると…
裏側には黄緑色の布を貼り合わせ、間には直径16ミリの超強力マグネットを挟み込んであるので、壁に画鋲を刺せば好きな所にとまらせることができます。
あるいはカーテンやタペストリーにとまらせるなら、マグネットを一つ用意して裏側から布を挟み込むようにすると、簡単に好きな場所に付けられます。
裏側には一応、脚が付けてあるので、自然な姿勢で立たせることができます。
押絵のナミアゲハは前翅長が70ミリほど。ちょっと大きめのサイズです。